
みんな大好きあいみょん姉さんの歌唱力の秘密に迫ります。
楽曲だったり、歌声そのものだったり、数えきれない魅力があるのですが、今回はリズムにフォーカスしてみていきましょう。
そのためにはちょっとだけ音楽の知識がいるので、楽曲解説の前に2秒(2分)だけ座学タイムお付き合いください。
音楽のお勉強
4分の4拍子
1小節が4個の4分音符で構成される拍子を4分の4拍子といいます。
細かい話は省略しますが、「わーんつーすりーふぉー(1,2,3,4)」とカウント出来る曲はほぼ該当すると思ってもらって構いません。
95%くらいの曲はこの拍子で作られています。
本日のテーマ曲、愛を伝えたいたいだとかも4分の4拍子の楽曲です。
2拍目、4拍目が重要
4分の4拍子が1,2,3,4とカウントできるのはお伝えしましたね。
その中でも重要なのが2と4
偶数拍(2,4)にはスネアドラムという楽器(ドラムセットの一部)が鳴ることが多いです。
こいつと仲良くなれるかどうかが、リズム感の肝でございます。
理由としては、シンプルに音がデカいですし、アタック部分も鋭い音なので、リズム楽器の中では圧倒的な支配力があります。
長いものには巻かれろ精神で、スネアドラムと仲良くしましょう!
(音楽は自由なので、もちろんスネアドラムを無視する方法や、わざとズラすこともいくらでもあるのですが、ピカソになるのはデッサンのプロになってからにしましょう。)
そして、あいみょん姉さんはスネアドラムと親友!
さて、あいみょん姉さんがどうやってスネアドラムと仲良くしているのかをチェックしていきましょう。
あいみょん 愛を伝えたいだとか
参考動画・音源
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愛を伝えたいだとか
カテゴリ: J-Pop
解説 黄色→2,4拍
けんこうてきなあさだな【呼気ドメ】
こんなときにきみのあいしてるが聞きたいや ah ah
ゆれるカーテン【呼気ドメ】
すこし浮いたまえがみも
すべてここちいいさ【呼気ドメ】ah
それに割れてしまっためだま焼き【呼気ドメ】
ついてないなぁ
バランスをとってもあふれちゃうや ah ah
すこしからくてすこし酸っぱくて
あまったるかったりさ
とりあえずきょうは
さて、いかがでしょうか。
2,4拍目に該当する箇所にチェックをつけてありますので、該当箇所をよく聞き込んでみてください。
「パスッ」
「カッ」
どう表現したらいいか難しいところなのですが、毎回同じドラムが鳴っているのがわかると思います。
そして、その音がなっている時の歌唱上の特徴を掴んでみましょう!
答えは単純。
2,4拍目はフレーズの中のアクセントになっていますね。
アクセントの作り方は3パターン
さて、アクセントになっているのは何となく感じ取れたかと思いますが、どうやってアクセントをつけているのか細かく見ていきましょう。この範囲だと3パターンあると私は考えます。
アタックをつける
母音の子音化(アタック母音)。
例)Ah Ah
もしくは子音自体の息の量を増やしてアタック感を増しています。
子音を立てるという表現を使いますが、息を多く使って発生することにより、子音を強調することができます。
アクセントをつける上でもっとも頻出なのは子音の強調ですので覚えておきましょう。
いずれにせよ、よりパーカッションの音に近いような音色で発音することでドラムに寄り添っています。
*アタック母音についてはこちらを参照してください。
【母音×アタック】フレーズの頭 母音三種盛+マル秘の裏技~和田アキコ/MISIA/絢香~
音量自体をUP
アタック感をつけづらいワードの時は音量自体をあげています。
とはいってもほんのちょっとです笑。
微かに!です。あんまり極端にやるとわざとらしくなってしまいます。
例)すこし浮いたmまえがみも
上記の箇所はまの位置で「若干」音量が上がっています。
mのミュート音を直前に入れ込むことで自然なアクセントとなるようになっています。
分析箇所には登場しませんでしたが、母音の押し直しをしてビートに合わせるというのも頻出ですので、頭の隅に入れておいてください。
*ミュート唱法についてはこちら
http://utaukimochi.com/2019/01/26/post-133/
呼気ドメ唱法
別の記事でまとめてある、呼気ドメ唱法も使用されています。
【呼気ドメ唱法】フレーズ語尾で大活躍!息が楽になり、リズムもとれる!~清水翔太 花束のかわりにメロディーを~
呼気ドメ唱法とはフレーズの終わりに息を吐いて(⇔吸気)終わるテクニックです。
この息でスネアドラムのビート感をとらえるというイケ女っぷり。
上記の3通りの方法で、しっかりとビートを捉えることがドラムとの相乗効果となり、からだを揺らしたくなるようなワクワク感満点なリズムを生み出しています。
2,4拍目に言葉がないときがある
2,4拍目に言葉がなくて、アクセントを置いていない箇所がありましたね?
これに気付いたあなたは天才。
この場合はシンコペーションというミラクルが起きているケースがあります。
1番のサビ前まででは2箇所発見できます。
ついてな(ドラム)いなぁ
「な」と「い」の間にドラムが鳴っています。
ここまで、ドンピシャの位置に言葉を入れ込んできていながら、このタイミングでシンコペーションになるのが本当に渋い。
ビートからはずれることで「ついてないなぁ」のセリフ感が強調される結果になっているのではと考察しています。
とりあえずきょ(ドラム)うは
このフレーズでは、きょが強調されているのに気がつきましたでしょうか。
シンコペーションにはアクセントをずらす効果があり、ずれたアクセントは本来のアクセントより強烈に強調されることが多いです。
サビ直前のフレーズで入れてきたことで、サビへのスピード感を演出していると考えられます。
あいみょん姉さんすげー。
アクセントを置くことで得られる副産物
シンプルにテンポがぶれづらくなります。
リズム感がない=曲とタイミングがずれていく
というパターンの人が多いのですが、アクセントを2,4拍目に置くだけで、あら不思議。
一発で改善!ということもざらにあります。
人間目印があると、意識を集中できるものですね。
16分音符を全て正確に歌うのはかなり難易度が高いので、一旦2、4拍目を意識することで言葉数の多い曲を攻略することができます。
メトロノームを使ってタイム感そのものを鍛えるのもいいですが、ビートを意識するほうが近道だったりします。
リズム感=表現/歌い回しを決定づけている説
本日の2,4のビート感の話の中で、あることに気づいた方もいるかもしれません。
リズムを正確に捉えると、それだけでアクセントの位置が決まり、表現がある程度固まるのです。
つまり、ドラムのパターンを聞けばアーティストがどう歌うかある程度予想もつきます。
これができるようになると一気に完全コピー練習法がはかどるようになります。
リズムをしっかり捉えるだけで、ある程度上手に歌えるようになるんだからすごいですよね。
まとめ
よくある勘違い1
アクセントがスネアの位置にくるというテクニックはかなり汎用性が高いですが、ドラムパターンも無限にあるので、絶対のルールではないということを覚えておいて下さい。その都度シンガーが何を重要視して歌っているのかよく聞きましょう。
ベースの支配力が高まりまる編成もありますし、ピアノ一本の時でも歌で仮想スネアドラムを思わせるようなビートを表現することもできます。というか、4分の4拍子じゃない時点で応用が必要になりますね笑。
よくある勘違い2
アクセントのつけ方が全部音量アップになってしまうケースが多いです。
繰り返しになりますが子音をたてて、ビート感を出すことがもっとも多いです。
また、しゃくったり、泣き唱法を入れてアクセントとすることもあります。
ゆっくりのテンポの曲だと吸う息を強めることでビートに寄り添うこともあります。
さまざまなパターンを使い分けましょう。
一番楽チンな音量アクセントに逃げがちですが、あまり同じ表現ばかりだと飽きてしまいます。
そもそも子音が分離しているような箇所や、無声音の子音は音量をあげようがないので、かなり不自然な表現になってしまいます。
シンコペーションとフィール
あいみょん姉さんのリズムを語るにはあと2つファクターがございます。
それはシンコペーションとフィールのコントロール。
それぞれ別記事でまとめますので、2,4のビート感について体感できたら、そちらもぜひ読んでみてください。
2,4のビート感と同じくらい重要なわくわくリズム要素です。
マニアックな内容読んでいただいてありがとうございました。
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初コメント失礼します。
歌詞のリズムのアウトプット、日本人が苦手なフィールドだと思います!楽しく読ませていただきました!m(_ _)m
次の記事で書かれるのかもしれませんが、この「愛を伝えたいだとか」のリズムって結局どう捉えたらいいのでしょうか…?ストレートの楽器とハネてる楽器とあって、あいみょん姉さん自身もストレートで歌うところとハネて歌うところとあって……その辺について、どうお考えなのか、気になるところです。m(_ _)m
自分で歌う時に、16分の歌詞をどう処理するかいつも迷ってしまいます。
次回も楽しみにしております。
コメントありがとうございます!
リズムについては常にグラデーションの世界ですし、言語化が難しい分野ですよね。
ハネ度合いを測定してくれるAIとか誕生してくれたら一気にスムーズになるとは思うのですが、、、笑
あいみょん姉さんもギターを弾きながら歌うライブでは、殆ど2、4の支配は受けず、ストロークのニュアンスに引っ張られているので、この記事のコンセプトすらあっという間に崩壊するくらいリズムって水物です。
ハネてる楽器とイーブンの楽器を聞き分けられるほどの耳があるならば、後はどうやってデザインするかだと思うので、私の意見なんて必要ないとは思っています。笑
しかし、せっかくコメントくださったので、この曲限定で個人的な考えをお伝えします。
あいみょん姉さんは下記のように歌い分けているのではないかなと思っています。
歌はハネる。
セリフはイーブン。
頭を使って意識してやっているのか、感情を込めた結果自然とそうなっているのかは分かりませんが、上記のように捉えるとスッキリすると思います。
ハネるとワクワクしますが、歌詞の明瞭さや、日常感とはある程度トレードオフの関係になってしまうのが理由、と考察しています。
ハネのコントロールのためには歌詞部分だけでなく、ブレスの処理やゴーストノートの使い方も重要な要素です。
これについては2月1日に記事を上げる予定ですので、お楽しみに!
これからも何か気になることがあればぜひコメントください♪